オンラインで商品を販売する際に、ホームページ・オンラインショップ・予約サイトの中に忘れずに用意する必要があるのが「特定商取引法に基づく表記」のページです。
▶︎「特定商取引法に基づく表記」ページに関する知識はこちらの記事をご参照ください。
「自宅サロンでの開業や、まだ規模の小さい個人事業の場合でも、住所や電話番号の表示は必要なの?」
「自分や家族の個人情報を守るためにも、住所や電話番号の表記を避けることはできるの?」
こんな疑問がある方もいるのではないでしょうか?
今回は、「特定商取引法に基づく表記」で個人名・住所・電話番号などの個人情報は省略できるのか、『特定商取引法ガイド』のサイトを参考にしながらまとめたいと思います。
事業者の個人名・住所・電話番号などの個人情報は省略できる?
結論から言うと、個人事業主など、個人で仕事をしている場合は、ページへの個人情報の表記を省略することができます。
以下、『特定商取引法ガイド』のQ&Aページの内容を引用します。
事業を行う上で、責任の所在を明らかにすることは不可欠です。このため法人であれ個人であれ氏名又は名称を表示することが必要です。加えて事業者が法人の場合で、ウェブサイトや電子メール等を利用して広告をする場合には、代表者名又は通信販売に関する業務の責任者の氏名を表示することが必要です。通信販売に関する業務の責任者とは、通信販売に関する業務の担当役員や担当部長等実務を担当する者の中での責任者を指すものであり、必ずしも代表権を有する者でなくても構いません。ただし、消費者からの請求によって、広告表示事項を記載した書面又は電子メール等を「遅滞なく」提供することを広告に表示し、かつ、実際に請求があった場合に「遅滞なく」提供できるような措置を講じている場合には、事業者の氏名(名称)の表示を省略することも可能です。なお、ここでいう「遅滞なく」提供されることとは、販売方法等の取引実態に即して、申込みの意思決定に先立って十分な時間的余裕をもって提供されることをいいます。
https://www.no-trouble.caa.go.jp/qa/advertising.html [Q15]引用
特定商取引法に基づき広告に表示することとされている住所及び電話番号は、事業を行う上で、トラブルが生じた場合や消費者から問合せがある場合の対応等に備えるためのものです。
https://www.no-trouble.caa.go.jp/qa/advertising.html [Q17]引用
そのため、「住所」については現に活動している住所、「電話番号」については確実に連絡が取れる番号を表示する必要がありますが、消費者からの請求によって、広告表示事項を記載した書面又は電子メール等を「遅滞なく」提供することを広告に表示し、かつ、実際に請求があった場合に「遅滞なく」提供できるような措置を講じている場合には、事業者の住所及び電話番号の表示を省略することも可能です。なお、ここでいう「遅滞なく」提供されることとは、販売方法等の取引実態に即して、申込みの意思決定に先立って十分な時間的余裕をもって提供されることをいいます。
上記引用文章内の下線・太字部分を見てもらうと分かるとおり、「消費者から請求をいただいた場合は、遅滞なく開示・提供します。」という表記が必要になります。
表記例として、個人名・住所・電話番号の項目には、以下のように記載するといいでしょう。
責任者名 | ご請求をいただいた場合は、遅滞なく開示いたします。 |
所在地・住所 | ご請求をいただいた場合は、遅滞なく開示いたします。 |
電話番号 | ご請求をいただいた場合は、遅滞なく開示いたします。 |
省略することで個人情報がネット上に公開されるのを防ぐことができる
このように、ルールを守って表記を省略することで、個人事業主の場合は、住所や電話番号などの個人情報をむやみにネット上に公開することを防ぐことができます。
最低限、お客様に対して情報を提供することは必須ですが、お客様ではない、見ず知らずの人にまで個人情報を見られるのはリスクにもなりますので、注意しましょう。
消費者からの信頼を得るためには公開できる情報を持っておくことが大事
ルールを守れば省略はできますが、やはり消費者・お客様の立場からすると、「特定商取引法に基づく表記」が省略だらけの場合、商品・サービス・ビジネスに対する信頼という面ではどうしても不利になります。
法律を守り、お客様に安心感と信頼感を持ってもらうためには、やはり公開できる住所や電話番号を持っておくことが大切です。
住所に関しては、事務所や店舗などを持っていない場合、住所利用が可能なバーチャルオフィスやコワーキングスペースを利用することで解決できます。(月額5,000円くらいから利用できるところも結構あります。)
電話番号も、電話やショートメッセージだけなど最低限の内容でビジネス用の携帯を契約するなど、しっかりと投資をすることが大切ですね。
まとめ
「特定商取引法に基づく表記」で個人名・住所・電話番号などの個人情報は、「消費者から請求をいただいた場合は、遅滞なく開示・提供します。」と明記することで、省略することができます。
消費者を悪質な事業者から守るための法律ではあるものの、事業者側としても個人情報を公開するのはリスクがありますよね。
ご自身の状況を踏まえながら、省略するのか、公開できる住所・電話番号を用意するのか、判断するようにしてみてください!